序文 (第 2 版)

オープンソースのデータサイエンスソフトウェアは制御不能な方法で常に変化し続けており、このテーマで書籍を書くことは、勇気ある挑戦です。それは、誰かが常にゴールラインを移動させ続ける中でレースを走るようなものです。この『Geocomputation with R』の第 2 版は、まさに適切なタイミングで出版されました。本書は、最近の多くの変更に対応するだけでなく、新しい R パッケージや計算環境における新たな動向も取り入れています。 本書には、ラスタとベクタの相互作用に関する章が追加され、ラスタ (およびベクタ) データ処理でパッケージ raster に代わる terra パッケージについて解説しています。また、高品質な地図作成のための tmap パッケージについても、バージョンアップが完了した最新状況に対応しています。

著者は、本書の内容を更新するだけでなく、ソフトウェアの変更を効率化し、焦点を絞るため、広範なテストを実施し、改善を支援し、GitHub で Issue や Pull Request を投稿し、ベンチマーク結果を共有し、ソフトウェアのドキュメント改善にも貢献してきました。

本書の初版は大きな成功を収めました。これは、sf パッケージとtidyverse を使用して空間分析を普及させた最初の書籍でした。その熱意は幅広い読者に届き、多様な経験レベルの人が新たな問題解決に取り組み、次の段階へ進むのを支援しました。 印刷版に加え、オンラインで完全に無料で利用可能だったため、広い範囲の人々に届き、提示された手法を自身のデータセットで試すことができました。さらに、著者は GitHub の Issue、ソーシャルメディアの投稿、Discord チャネルでの議論を通じて連絡を取るよう促してきました。これにより、75 人が何らかの形で書籍のソースコードに貢献し、そのうち数人は詳細なレビューを提供したり、Cloud-optimized GeoTIFFs、STAC、openEO に関するセクションを執筆したり、sfheaders パッケージ、OGC APIとメタデータ、CycleHire Shiny アプリなどに関するセクションを執筆しました。Discord では、高度な技術的な話題から「私が作ったものを見てください」といった内容まで、多様なトピックを含むスレッドで活発で即興的な議論が展開されました。

さらに、著者は『Geocomputation with Python』という関連書籍の執筆を開始しています。ジオコンピューテーションはデータサイエンス言語を用いて行われるものであり、決して特定の言語に限定されるものではないと強調しています。ジオコンピューテーションは急速に発展しており、成長するジオコンピューテーションコミュニティの育成の一環として、このような書籍の執筆は不可欠です。

Edzer Pebesma

Münster, Germany, May 2024